改正行政書士法

2026年1月行政書士法改正のポイント
2026年1月1日から、改正行政書士法が施行されます。
今回の改正は、行政書士だけでなく、書類作成や手続きを外部に依頼する一般の方にも大きく関係する内容です。
ここでは、特に注意していただきたいポイントを中心に簡潔にご紹介します。
無資格者による「有償の書類作成・手続代行」が明確に禁止されます
今回の改正で最も重要な点のひとつが、行政書士資格を持たない者が、報酬を得て行政書士業務を行うことの禁止がより明確になったことです。
これまでは「コンサル」「サポート料」「成功報酬」など名目を変えた業務や補助金・許認可申請の“実質的な書類作成代行”といった、グレーなケースが存在しました。
改正後は名目にかかわらず、報酬を得て官公署に提出する書類の作成や手続代行を行政書士以外が行うことが明確に禁止されます。
つまり「書類は作っていないと言われたが、実際はほぼ代行だった」「コンサル料として支払っていた」といった場合でも、違法と判断される可能性が高まるのです。
依頼した側も責任を問われる可能性があります(両罰規定)
もうひとつ重要なのが、両罰規定の整備です。
これは、違反行為を行った個人だけでなく、法人や事業者側も処罰の対象となる
という考え方です。
具体的には無資格者が違法に書類作成・手続代行を行った場合それを業務として関与・依頼していた法人や事業者も責任を問われる可能性があるということです。
行政書士側の課題
このように今回の法改正は国民の利益実現に責任を持つ専門職としての行政書士の位置づけを明確化するもので、行政書士にとっては喜ばしいものです。
しかし、そこには課題もあります。
「資格がある」だけでは信頼されない時代
今回の改正で、行政書士の業務独占がより明確になりました。
これは一見、行政書士にとって有利な改正のように見えます。
しかし裏を返せば「なぜ無資格業者に仕事が流れていたのか」「なぜ行政書士に頼まない選択をされてきたのか」という点を、行政書士自身が直視する必要があるということでもあります。
「資格があるから安心」ではなく、「この人に頼みたい」と思ってもらえる存在であるかが、これまで以上に問われるようになるでしょう。
これからの行政書士に求められるもの
「専門職としての知識の研鑽」「デジタル社会への対応」などこれからの行政書士に求められるものは益々多く、重くなっていきます。
この度の改正行政書士法は、行政書士にとって権利拡大という利益だけではなく、信頼に値する専門職であり続けられるかどうかの試金石だと言えるでしょう。
私たち高橋事務所も専門家としてのお客様から信頼していただけるよう、より一層気を引き締めていかねばという思いを新たにしております。

